脳腫瘍について

脳腫瘍について

今回は、脳に起こる腫瘍についてお話させて頂きます。

近年脳腫瘍はヒト同様、動物達にも発症するというのがわかって来ました。 その理由としては、米国など先進国での専門医の活躍により多くの研究がなされているという事、 また、CTスキャンやMRIといった高度画像診断の動物医療への導入が急激に進んでいるからかと思われます。

脳腫瘍について

脳腫瘍は、犬での発生頻度は約10万頭に14頭程度、猫では10万頭に三頭程度と言われてはおりますが、今迄は画像診断の能力の限界があり診断が付かなかったケースも多かったと考えられますので、実際はもっと発生率も多いかと思われます。また、一般的に老齢動物での発生率も高い為、動物の高齢化に伴っての頻度も増えてくる可能性も高くなるため、残念ですが今後もっと増えてきてしまうかも知れません。

犬と猫では、脳腫瘍の種類が異なる

犬では約半分が髄膜腫と言われていて多くが良性で、手術で完全摘出出来れば予後は良好と言われています。そして神経膠腫(グリオーマ)という腫瘍が続き、約4割に当たります。これは脳内で浸潤性に発育する物が多いため摘出や放射線治療が困難である事が多く、組織学的には良性な物であっても実際には悪性のカテゴリーに分類される事も多くなります。残りは脈絡叢などに発生する腫瘍になります。対して猫では、およそ90%が髄膜腫であり良性です。この様に犬と猫でも脳腫瘍の種類が異なります。

脳腫瘍の症状

これらの病気の症状ですが、犬の場合と猫でも多少異なります。犬の場合の初期の段階では、性格の変化(急に怒りっぽくなった、反応が鈍くなった)などに始まり、目の変化(眼振、斜視、目のくぼみ、視力喪失など)、顔の変化(左右不対称、顔面筋肉量の低下など)、歩行の変化などから始まり、痙攣発作などが一般的です。猫の場合は、何と無く元気が無いという非典型的な症状である事が多く、猫の殆どを占める髄膜腫もゆっくり大きくなる場合が多い為、大きくなってから初めて発作が起こるなどの症状が出てきます。

脳腫瘍の早期発見にはビデオが有効

この様な、脳腫瘍に結びつく症状が出てこない為、疑われる時にはかなり腫瘍も大きくなってしまっている事も多いのが実状です。人でもそうですが、小さいうちに診断を付ける事の重要性は非常に大切である事は言うまでもありません。しかし、この様な初期症状はご家族である皆様しか感じ得ない事でなのです。「何と無くおかしい」ではありますが、私達医療スタッフはそんな症状からも脳腫瘍の可能性を見つける事が出きるかも知れません。それにはズバリ「ビデオ」です。何か変?と思われたら、ご自身の携帯電話やスマートフォンのビデオモードで撮影してみて下さい!そんな簡単な事が皆様の家族の早期発見に役立ちます。